2026
9/19

【コラム】父が考えていたのは自分のお墓ではなく家族のことでした入院をきっかけに始まった「これから」の話



父が入院したのは、ある秋の日のことでした。

それまで元気に過ごしていた父が病院のベッドにいる姿を見て、家族は初めて「これからのこと」を考えるようになりました。



母と実家で暮らす次女のMさん。

そして、結婚して県外で暮らす長女のHさん。

久しぶりに家族がそろった日、父がぽつりと言いました。

「お墓のことも、そろそろ考えておかないとな」

ずっと守ってきた、家族のお墓

家には、昔から守ってきたお墓があります。

父はこれまで何度も足を運び、草を取り、花を供え、ご先祖様に手を合わせてきました。

けれど、母も少しずつ年を重ねています。

娘たちにも、それぞれの暮らしがあります。

「この先、誰がお墓を守っていくんだろう」

誰も口には出さなかったその不安を、父もずっと感じていたのでしょう。



県外で暮らすHさんは、お墓を守り続けることの難しさを感じていました。

実家にいるMさんも、

「私がずっとここにいるとは限らないから……」

と、小さくつぶやきました。

お墓をなくすのではなく、想いをつなぐ

家族で何度も話し合った末、長年守ってきたお墓を墓じまいし、これからも無理なくお参りできる場所を探してみようということになりました。

霊園を見たり、納骨堂を見学したり。

最初はどこか寂しそうだった父も、少しずつ考えが変わっていきました。

「お墓をなくすんじゃないんだな。
みんなが手を合わせられる場所に、移してあげるんだな」

その言葉に、母は静かにうなずきました。

お墓は、石を守るためにあるのではなく、
大切な人を想うためにあるのかもしれません。

Hさんが遠くにいても。

Mさんがいつかこの町を離れても。

家族が「会いに行こう」と思える場所があればいい。

父が本当に心配していたこと

父の入院をきっかけに始まったお墓探しは、

いつの間にか、家族みんなでこれからを考える時間になっていました。

そして帰り道、父が笑いながら言いました。

「これなら、お前たちに迷惑をかけなくて済むな」

Hさんは笑って、

「迷惑じゃないよ」

と答えました。

けれど、その声は少しだけ震えていました。

父が考えていたのは、
自分が眠る場所ではありませんでした。

自分がいなくなったあと、
残された家族が困らないように。

ただ、それだけだったのです。



お墓は、家族のこれからを考える場所

あの日から家族にとって、お墓は「いつかのために準備するもの」ではなくなりました。

大切な人を想い、
これからも家族がつながっていくための場所。

そんな場所を、家族みんなで探しています。

これは他人ごとではありません。

あなたの場合はどうですか?

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